航海記20 試練のクエ釣り編③

玄界灘では朝日は陸側から登ります.かなり沖に出ていますので陸は見えませんが,朝日の方向で陸側を確認できます.前夜22時頃から夜中の2時頃までイカ(エサ)釣りをしていますので,太陽は必要以上にまぶしく感じます.

本命のアラ釣りを始める頃はまだうす暗い時間帯ですが,“朝まずめ”と言って魚の釣れるチャンスですので眠くても集中しています.7時,8時と進むにつれて大きな太陽が空に存在感を増して来ます.集中も持たなくなり,意識も途切れ途切れになった頃でした.持
っていた竿がぶるぶると震えた瞬間に水中に竿先が突っ込まれました.よく曲がるもんだなぁと感心している間もなく,両腕にずっしりと重みが…

竿を大きく立ててリールを巻こうとしますが,重みと魚の勢いのため両腕で竿を支えるのが精いっぱいでした.無我夢中とはこのことと,後で思うくらい無我夢中でした.何とか底を切り(魚をそこから浮かせること),リールを巻きます.この時は手巻きの大型リ
ールでした.あぁ,大きな電動リールを買おうと決意しながら懸命に巻きました.ある程度,上がってくると魚は無抵抗になります.70-80mの水深から一気に浮かせると浮袋が膨らんでしまうからです.水面に大きな魚体が浮かび上がってきます.念願のクエです.船長に船に引き上げてもらい魚体を観察すると鮮やかな黄土色と白の模様.水族館や魚屋で見るのとはかなり異なっていました.計測すると10㎏ほどでした.もっと大きいかなと期待していましたが,まずまずの型で満足しました.

その後も玄界灘,平戸沖に何回か釣行しましたが,これの他は5㎏クラスを2本釣っただけです.昨年は一緒に行った友人が20㎏のクエを釣りましたが,その姿には圧倒されました.クエ釣りの魅力はその強い引きにもありますが,何といってもその味です.刺身,肝
と皮の和え物,あら炊き,しゃぶしゃぶ等々.どれも旨いです.今年もアラ釣りの季節までもう少しです.何とか時間を見つけて挑戦したいと思っています.

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