航海記22 真夏の釣り
釣り好きな私ですが,例年,8月と9月は九州では日中に釣りはしません.夜釣りはたまにしますが.なにしろ,暑くて暑くて.灼熱の太陽,熱風のような西風,蒸し風呂のような湿度,吹き出る汗,海には逃げ場がありません.度が過ぎると熱中症になります.
8月の玄界灘はカツオ釣りが盛んになります.あまり大きくはないのですが,新鮮なうちに刺身やタタキにするとたまりません.独特な艶やかな赤身,新鮮なのに柔らかい歯ごたえがいいですね.カツオは群れでエサを追いかけています.シラスであったり鰯であったりします.大きい群れだと,100メートル四方位になるでしょうか.小魚を追って水面でバチャバチャします.鳥の群れも小魚を目掛けますので,海面は博多どんたくのような騒ぎになります.そこに,釣り人はルアーを投げ込みます.そんな状況なので,時折,鳥が釣れてしまいます.釣れた!と思ってリールを巻くと糸が空中に上っていきます.大体は空中で外れますが,船まで引き上げて(下げて?)針を外すこともあります.
3年前の8月,カツオが調子いいということで,友人たちと遊漁船をチャーターして宗像の沖ノ島に向かいました.出港は6時前だったので涼しく,期待にときめきていました.2時間後に沖ノ島周辺に着くと,雲一つない晴天でした.ちらほらと湧いて出るカツオの群れを追いかけて,無我夢中で釣りをしていました.もちろん,船の上ですから痛々しい直射日光をもろに浴びながらです.10時頃に友人の一人が,足が吊ってしまいリタイヤしました.皆,熱中症にならないようにアクエリアスなど飲んでいましたが,垂れ流し状態の汗に追いつきません.手のひらや足の裏からも汗が出てきます.とにかく,日影がないため暑さは半端ありません.しかもその船は,キャビンはあるものの冷房設備がなく,キャビンに避難しても蒸し風呂です.魚の反応はよく,それなりに釣れて楽しいはずですが,段々と修行のようで苦痛になってきました.の11時過ぎには朦朧としてきて,誰からとなく“帰ろう”となりました.帰路についても汗は止まりません.完全な熱中症です.神がいると言われる沖ノ島で神に召されるところでした.這う這うの体で家までたどり着き,水風呂に入ったことが思い出されます.
今年は猛暑になると言われています.熱中症対策を十分にされて下さい.