航海記03 ~外科医になった訳~

聖マリア病院では研修医として1年目に循環器内科や麻酔科,産婦人科をロ
ーテートしました.循環器内科,麻酔科ではいわゆる“ABC(気道確保,呼吸,循環)”を習得したいと思っていました.産婦人科では女性の腹部疾患の際に婦人科疾患を鑑別できることを目的にしていました.その他,研修医のdutyとして検診や救急当直も行っていました.

2年目に外科を選択しました.外科では救急を含め幅広い診療を行い,全身管理の大切さや難しさを学びました.診断した疾患を根拠に基づいた治療法を選択し,自分で治療することの責任感などを感じ取れました.研修医終了後に大学入局も考慮しましたが,いわゆる“臨床現場”から離れることをためらっていました.

当時の聖マリア病院は,現在の様に救急専門に診療する科も人もいなくて,外科が救急医療を担当していました.特に当直帯では,救急車で来院されるほとんどの患者さんを診察していました.救急でみえられた患者さんを手術するかしないかの判断や心配停止の患者さんの処置には予断は許されません.張りつめた中での的確な判断ができる先輩方に畏敬の念を抱いていました.その緊張感が心地よく感じるようになっていきました.

外科では手術は当然ですが全身麻酔なども必要とされました.手術や麻酔をしている時は時間を忘れるようでした.外来では術後の患者さんのアフターケアが必要ですが,もともとの持病である糖尿病,高血圧,喘息なども同時に治療していく必要がありました.先輩方の指導を受けて,自分が成長していることを肌に感じられました.適切に診断した疾患を根拠に基づいて自分達で治療することが最も有意義に感じられ,3年目が終わるころには外科医として独り立ちしたいと決断しました.

今思えば,苦難の始まりだったかもしれません(;一_一).

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